2徳永庸が残した冊子と草稿
徳永庸は、生前に身辺の出来事を書き記した次の6編の文章を残しているが、いずれも追想録に所収され、「励みに生きる」から「励」をその副題としているので、この「徳永庸伝」の主題も「励みに生きる」とした。
「旅の追憶」(昭和7 年11月6日)
「欧米一周の旅を了へて」(昭和8 年2 月)
「その頃の追憶」(昭和35 年10月)
「その頃を回顧する 十人の侍達」(昭和39 年2 月)
「励みに生きる」(昭和40 年1 月)
「私の伊作お祖父さん」(昭和40年3 月20 日)
「その頃を回顧する 十人の侍達」は、小冊子として残されたもので、表紙には「永年に渉る協力者 妻安喜子に捧げる 昭和39年2月 徳永 庸 東京都北多摩郡国立西区265の私宅雑花園にて 梅の花、花を数えて、喜の齢」と記されている。
また追想録発刊にあたり、妻・安喜子※ 3は「想い出すがままに」を寄せ、さらに村野藤吾はじめ12名が故人を偲んで徳永にまつわる追憶や感慨を述べこれらも合せて所収されている。以下追想録を参考にして徳永の足跡をたどってみよう。