藤川勝丸

城戸 関内

登場人物

城戸 関内

城戸 関内

1844-?

幕末維新の蒸気船乗りから福工機械科教師へ

1卒業記念写真

城戸 開内

 冒頭の写真は、明治36年(1903)3月に撮られた福岡工業学校機械科の卒業記念写真に写っている城戸開内である。城戸は福岡工業学校勤務となるまでは、嘉永4年(1851)より福岡藩船手組に出仕して後には藩蒸気船・大鵬丸乗り組みとなり幕末から維新にかけて活躍している。この写真は、明治36年3月の卒業直前に撮られたもので、機械科卒業生21名と杉本源吾初代校長はじめ10名の教師とともに卒業製作品である竪型蒸気機関と石油発動機を前にして機械科工手として勤務しているときのものである。

 前列右から二人目の城戸開内は、石油発動機の大きなフライホイールを前にして、「職員服務規律・第七章」により教師も生徒と同じように黒色絨地の海軍型の帽子に「桜折枝ニ工ノ字」※ 3の徽章を付けた制帽を被っている。

 しかしその被り方は少し左斜かいに帽子を戴いているが、残されている数枚の写真では、いずれもきちんと目深に被っているというよりは、やや傾かしげているか阿弥陀被りのようにただ頭に載せているという様子である。明治4年(1871)に太政官より発せられた散髪脱刀令※ 4により、髪型が自由になるまでの27年間は髷姿であったであろうことから、心情的・感覚的に西洋の帽子を戴くことに拘りと、かつての侍としての矜持からくるのかもしれない。この時55歳となる城戸のその容貌から受けるものは、もはや侍としての鋭さより、ひとりの好々爺然とした面影である。

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