8寿像贈呈と慰労金の贈与
上野壯吉の退職を機会に、これまで学校への長年の貢献と同窓会に対する援助、取分け同窓会設立の努力と会誌編集に大いなる尽力があったので、福岡工業校友会はこれに感謝し恩師の姿を留め記念するために胸像を製作して贈ることとなった。昭和6年(1931)2月11日の紀元節拝賀式後に、志村良光、藤川勝丸の現旧校長出席のなか、学校講堂において上野先生謝恩寿像並慰労金贈呈式が行われた。野田俊郎校友会理事長の感謝の辞に続いて、上野
壯吉は妻のフジと長男の漸(いたる)を伴って前に進み出て志村校長より寿像並びに謝恩慰労金目録を受け取った。一同は、いつもの如く謙譲に満ちた口調で述べる上野の答辞を聞きながら、職を退いた上野に対し学校時代とは違った親しみを感じた。また共に30年間を務めた藤川元校長は、何故にかく生徒・卒業生が慈父の如く敬慕するのかといえば、畢竟老先生は徳の人なることを種々の例を引いて称えた。