藤川勝丸

城戸 関内

登場人物

城戸 関内

城戸 関内

1844-?

幕末維新の蒸気船乗りから福工機械科教師へ

10太政官飛準丸機械方士官となる

 明治元年(1868)9月6日、蒸気船飛準丸の機械方士官を命じられる。この船は南部盛岡藩所有の蒸気船であったが、太政官により新政府の軍用輸送船として借り上げ後に買い取られ福岡藩へお預けとなった。
 機械方士官の任務は、船の推進動力となる蒸汽罐や蒸気機関の運転運用を担当するものである。明治元年(1868)12月、黒田長薄より勤務精励につき金十二両下賜されている。

飛準丸
 この飛準丸については、本田敏雄の二編の論考※ 22に来歴等が詳細に述べられている。これによると、船籍:運送船(貨物船)、噸数:200噸、馬力:60または70馬力、長さ:110尺(33.33m)、幅:24 尺(7.3m)、深さ:18 尺4寸(5.6m)、代金:2万1 千両。
 この船は、慶応元年(1865)から函館港に停泊していた蒸気船「PEMBROKE」号で、明治元年(1868)2月に南部盛岡藩が当時イギリスやフランスの代理領事も務めていたリンゼー商会のデンマーク人デュース(J.H.Duus)から購入された船であった。
 「飛準丸(飛隼丸)」と命名されて、藩御用の諸物資や人員の輸送に供せられ
た。しかし明治元年5月4日、大阪で武器弾薬の入手にあたり、その代価に充てる国産の南部銅を搬送するため函館港を出帆、途上同月11日に浦賀に入港投錨するが、新政府軍の浦賀奉行からは上陸の許可※ 23が下りなかった。この時、港内には仙台、佐賀、津軽の各藩の蒸気船に交じって福岡藩の大鵬丸も停泊していた。
 停泊2週間後の5月26日、南部藩士官や同乗の御用達を除きイギリス人船長・航海士・水主及び積載荷などは官軍に召上げ※ 24られ軍務官(後兵部省)所管※ 25となり福岡藩にお預けとなった。後に、飛準丸は明治4年(1871)7月に、兵部省により他の飛龍丸、行速丸とともに新たに購入する東京丸の代価の一部に充てられている。

福岡藩預飛準丸乗組士官格
 明治2年(1869)、城戸開内は飛準丸が福岡藩へお預かりに付き同船乗組士官格を申し付けられ、戊辰戦争で陸兵輸送に従事する。

飛準丸で初代長崎知府事※ 26を送る
 明治元年(1868)1月14日に新政府は、幕府直轄地の長崎を没収する旨の布達により、翌15日最後の長崎奉行となった伊豆守河津祐邦が、奉行所を脱出し船で江戸へ引き揚げる。1月16日、旧長崎奉行西役所は、長崎会議所と改められ各藩の合議制により治安維持がなされる。1月28日、澤権左衛門佐(ごんざえもんのすけ)宣嘉が九州鎮撫使兼外国事務総督に任命され、2月15日長崎に上陸。2月16日長崎会議所の廃止に次いで、九州鎮撫長崎総督府が設置される。5月4日長崎裁判所が「長崎府」となり、九州鎮撫長崎総督府が廃止され、明治2年(1869)澤宣嘉は初代知府事(後府知事)に就任する。
 一月後の3月15日、澤は政府参与に命ぜられ上京のため4月11日に、大阪に向けて長崎を出港した。このとき飛準丸には、城戸開内が士官格として乗組んでおり、期せずしてか大きな歴史の転換に立ち会ったことになる。この時の精勤に対して賞金五百疋を下されている。

澤宣嘉(さわのぶよし)(1836 ~ 1873)

澤宣嘉

 天保6年(1835)権中納言姉小路公遂の五男として生まれる。文久3年(1863年)政変により朝廷から追放されていわゆる「七卿落ち※ 27」と云われる都落をする。王政復古後は、参与、九州鎮撫使兼外国事務総督、長崎府知事などの要職を務め、明治2年(1869)に外国官知事から外務卿になり、外交に携わりロシア公使として着任直前に死去した。

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