23機関場の実習
製図、原型、鍛工、仕上の各工場における生徒実習は、各分野の基本作業の習熟と製作が課せられるが、機関場では当番となった生徒は一人宛1、2週間無交代でボイラへ石炭の投入、灰の取り捨て等を実習とする、いわゆるボイラー焚きをした。冬季ともなるとこのボイラの上には弁当箱の行列が出来て、弁当が冷えないように温めたという。休憩時間や弁当時には、火夫の世間話に花が咲き生徒は耳を傾けて聞き入り機関場実習は苦痛感じることはなかった、という当時の生徒の回顧談が残っている。幕末激動期を藩の船手組、新政府蒸気船機械方士官、そして民間人として、時代の最先端技術の蒸気船乗りを務めた城戸の懐旧談を、生徒は聞き入ったであろう、と想像するだに興味深いものはない。