17炭坑勤務
津波黒炭坑
明治18年(1885)12月糟屋郡津波黒村(後勢門村・現篠栗町)津波黒炭坑に火夫として勤務する。
津波黒炭坑は、明治12年(1879)城戸伊三郎外4名で僅少の鉱区を出願採掘したのが始まりとされるが、開坑当時はまだ諸機械の設備もなく背負籠での運搬であったのが、先ず坑内排水設備※ 47として蒸気ポンプとその動力源となる蒸気を発生する汽罐(ボイラ)が設置され、そのための運転保守要員として蒸気船機械方の経験により石炭についての知識や蒸気機関の運転実績などにより城戸が採用されたのであろう。
炭質は、品位深黒色にして光沢あり炭滓少しと評価されていた。
仲原炭坑
明治21年(1888)4月に粕屋採礦会社が仲原村花ヶ浦において、この地区で最も早く石炭の採掘を始め、同22年に仲原炭坑(現糟屋郡粕屋町花ケ浦)として機械や道路の整備が進んだ。同坑の石炭は発熱量も高く品位は良好であったが、鉄道が開通するまでは車力運搬や馬車鉄道であり、後に鉄道が敷かれて昭和初年頃まで続いている。